イミグランはどんな薬?

イミグランは日本ではグラクソ・スミスクライン社から製造販売されている偏頭痛の治療薬です。

主成分はスマトリプタンで、セロトニン(5-HT)と構造がよく似ていて、この物質の働きをブロックすることで血管の拡張を防ぎ、偏頭痛発作を改善させるという作用があります。

偏頭痛について

日本は頭痛大国と言われているほど頭痛に悩む人の割合が多く、実際に成人の1/4が頭痛の悩みを抱えていると言われています。

日本人全体で見ればおよそ8.4%(840万人)が偏頭痛を抱えているといわれているのですが、その多くが女性で30代女性の5人に1人は偏頭痛持ちと言われています。

男女比で見ても1:4と圧倒的に女性に多く、完治する方法は未だに確立されていません。

したがって、発作に見舞われた時に症状を緩和する痛み止め(イミグランなど)を処方する対症療法が治療のメインとなります。

偏頭痛発作は10代〜20代と比較的若い年代で発症することが多く、その後も発作は継続します。

放置していると次第に発作に見舞われる頻度が高くなり、激しい頭痛から日常生活を送ることすら困難になるケースもある深刻な病気です。

発作は長い時には3日ほど続くこともあるので決して油断することはできません。

細かいメカニズムは未だに謎に包まれていますが、

“何らかの刺激が引き金となって頭の血管が急激に拡張し周囲の神経を圧迫することで「ズキン、ズキン」と脈の動きに合わせたような拍動性疼痛が起こる”

という特徴があります。

また、前兆や予兆もあり、発作の発生をある程度は把握できるので、適切な対処を取り、発作が速やかに治るように心がける必要性があります。

(偏頭痛?それとも片頭痛?)

「へんずつう」には“偏頭痛”と“片頭痛”と表記されている場合がありますが、一体どちらが正しいのでしょう?結論から言えばどちらも正解ですが、片頭痛の方が古い呼び名だとされています。

「へんずつう」の特徴として、頭の左右どちらかに発作が起こることが多いので「片頭痛」と言われていたのですが、研究の結果同じ発生過程であっても両側が痛む場合もあれば後頭部だけが痛む場合もあり、傾向としては頭部の限られた範囲に限定して発作が起こるケースが多いので「偏頭痛」と言われるようになったという説が有力視されています。

したがって、どちらの表記を用いても正解ということになります。

当サイトでは症状全体を考えた時、「偏頭痛」の表記の方がより病気の特徴を正確に表しているという判断から「偏頭痛」の方を採用しています。

(偏頭痛の痛み方)

偏頭痛の痛み方には以下のような特徴があります。

  • 間欠的に起こる(時々起こる)
  • 「ズキン、ズキン」あるいは「ガンガン」といった具合に脈打つような一定のリズムを刻んでいる(これを拍動性疼痛と言います)
  • 頭の片側に起こることが多いが稀に両側や後頭部に起こることもある
  • 発作が起こる頻度は1〜2回/1月程度から多い時は1〜2回/1週で発生する
  • 発作は1〜2時間でピークに達し、吐き気や嘔吐を伴いその後自然と治っていく。

一旦治ると何事もなかったかのように元気になる

  • 動くと痛みが増す傾向にある。

発作中は少しでも動くと痛みが強くなる

  • 吐き気や胃がムカムカすることがある
  • 光の刺激に敏感になる
  • 普段は気にならないような音や匂いが気になりだす

(予兆反応)

偏頭痛持ちの5人に1人の割合で現れる自覚症状で発作が起こる1〜2日前に現れる以下のような症状です。

  • 気分の落ち込み
  • 食欲減退
  • 情緒不安定、不定愁訴(イライラして怒りっぽくなる)
  • あくび
  • 疲労感
  • 集中力の欠如

(前兆反応)

発作が起こる直前(30分前ほど)に現れる症状で以下のような症状があります。

前兆反応は偏頭痛患者全体の20〜30%の人に起こるとされています。

  • 閃輝暗点(せんきあんてん):ギザギザとしたフラッシュのような閃光が見えたり、視野の一部が見えにくくなる視野欠損と呼ばれる症状が起こる
  • 手足のしびれ
  • 感覚の鈍化
  • ろれつが回らなくなる

これらが偏頭痛に見られる特徴的な症状です。

緊張型頭痛との違いは?

日本では頭痛と言えば偏頭痛をイメーズする人が多いようですが、実は一番多いのは「緊張型頭痛」と呼ばれるタイプの頭痛です。

この両者は慢性頭痛を代表する病気ですが、発生のメカニズムが全く異なります。

緊張型頭痛は主に精神的なストレスや一時的な強い緊張によって「血管が収縮し」ズシン(あるいはジーン)としたような鈍痛を覚えるタイプの頭痛ですが、偏頭痛の方は何らかの刺激によって「血管が拡張し」周囲の神経を圧迫することで起こる拍動性の疼痛です。

血流不足で起こる「緊張型頭痛」と急激な血流拡大によって起こる「偏頭痛」とでは同じ頭痛でも全く対照方が異なってきます。

偏頭痛の場合は一般的な痛み止めは効かないので、「イミグラン」のように血管を収縮させるという特殊な作用をもつ痛み止めが治療薬として用いられます。

イミグランの効果、効能、服用方法について

イミグランには錠剤と点鼻薬とがあります。

点鼻薬は鼻粘膜から薬効成分を浸透させて血管の拡張を抑制するという作用になります。

服用方法はいずれも発作時になります。

内服の場合は発作時すぐに1錠を1回服用、点鼻薬の場合は1回20mgを噴霧します。

追加する時は少なくとも2時間以上経過してからになります。

錠剤の場合、一回の服用で治まらない場合、次回服用時には2錠まで追加可能ですが、1日の服用上限は4錠までとなっています。

追加しても発作が治まらない時は偏頭痛以外の痛みの原因を精査する必要性があります。

(脳梗塞や脳腫瘍など)

副作用について

(内服薬の副作用)

  • 悪心、嘔吐
  • 動悸
  • 倦怠感
  • アレルギー症状(薬疹、蕁麻疹など)
  • 不整脈、虚血性心疾患様症状(狭心症や心筋梗塞にみられるような激しい胸痛など)
  • てんかん発作
  • 眠気

(点鼻薬の副作用)

  • 鼻粘膜や喉粘膜の刺激、違和感
  • 苦味
  • 熱感(ほてりや節々の痛み)
  • 眠気

*副作用に眠気があるので、服用後は車の運転や危険な作業は控える様にします。

禁忌について

イミグランは次のような症状または身体的な状況にある人には処方できません。

  • イミグランに対し重篤なアレルギー症状を呈する人
  • 虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)で治療中、あるいはその兆候のある人
  • 心臓病患者
  • 脳血管障害(脳梗塞、脳溢血など)、一過性虚血性発作(てんかんなど)の既往がある人
  • 末梢神経障害のある人(症状を悪化させる可能性があるため)
  • コントロールされていない高血圧患者(服用後に急激な血圧の上昇が確認されるケースがあるため)
  • 重篤な肝障害を有する患者
  • エルゴタミン、エルゴタミン誘導体含有剤、あるいはその他の5-HT1B/1D受容体作動薬を処方されている患者
  • MAO(モノアミンオキシターゼ)阻害剤を投与中あるいは中止して2週間以内の患者

入手方法

この薬は厚生労働大臣に許認可されている偏頭痛治療のための医療用医薬品です。

したがって、処方を受けるには一般内科や脳神経内科など該当する診療科を受診して、処方箋を発行してもらい調剤薬局経由で入手することになります。

偏頭痛治療薬にはイミグラン以外にも

  • ゾーミック(ゾルミトリプタン)
  • レルバックス(エレトリプタン)
  • マクサルト(リザトリプタン)
  • アマージ(ナラトリプタン)

などがありますが、何も市販薬ではありません。

もともと偏頭痛はロキソニンやバファリンなどの一般的な痛み止めが効かないタイプの頭痛です。

したがって、処方を受けるためにはきちんと頭痛のタイプを医学的な見地から判断する必要性があるのです。

偏頭痛には特徴的な痛みのパターンや前兆反応などがあるので、身に覚えのある人は我慢せずに医療機関を受診して処方してもらうようにしましょう。